Upcycling

節句人形店のつくる
アイスクリーム

村山人形店は松本の高砂通りにある人形店です。1946年の創業以来、それぞれのご家庭に合った節句人形を選ぶお手伝いをしてきました。

三代目の店主は食べるのも、作るのも、おいしいものが好きで、中でもアイスクリームに目がありません。

松本で採れるそのときの旬な素材を使って、店主自身が本当に食べたい、おいしいと感じるアイスクリームを、ご近所さんや友人にお裾分けするような気持ちでつくりはじめたのが「murayamaningyouten_ice_cream」です。

アイスクリームは子どもからお年寄りの方まで、日常の中で口にする「ケの日」のもの。
節句は季節の節目となる特別な日を祝う「ハレの日」のもの。

多くの方にとって身近なアイスクリームを通して、季節の小さな変化に気がついたり、古くから続く日本の節句文化を知っていただく機会になったなら。そんな想いでハレの日にもケの日にも楽しんでいただける、アイスクリーム作りに日々励んでいます。

松本のおいしいを
アイスクリームで

松本は北アルプスの豊かな自然が身近にあり、りんごやぶどうをはじめとする農作物が豊富に生産されています。また、松本の街には乾物店やお菓子処、飴屋など老舗の商店がたくさん並んでいます。そのときどきの旬の農作物を使ったり、松本の商店で生産される特産品を素材にすることで、松本だから味わえるアイスクリームを作っています。

素材が持つ、本当の味

「目をつぶって食べると、まるで本物のイチゴを食べているみたい」

試食してくれた小学3年生の女の子の言葉です。
当店のアイスクリームはできるだけシンプルな材料で、果物をぜいたくに、通常の2倍から3倍ほどの量を使ってつくっています。高果汁のアイスクリームは、ひと口食べると果物を丸かじりしているような、素材そのものが持つ本当のおいしさ、本当の味を感じていただけると思います。
良い素材は手を加えなくても、それだけでおいしい。アイスクリームを作りながら日々そう感じています。

素材をまるごと
大事にいただく

規格外という理由で、味は変わらないのに一部の農作物が捨てられてしまう状況があります。また、松本の近隣にある商店では、製造過程でどうしても生じる食品ロスがあることを知りました。そこで、流通にのらず捨てられてしまう食材を、アイスクリームの材料として積極的に使うことを決めました。当店ではこれを、アップサイクルアイスクリームと呼んでいます。
アップサイクルとは、本来ならば捨てられてしまうものにアイデアを加えることで、新しいものに生まれ変わらせること。傷んだ部分を取り除くなど加工の手間はかかりますが、食材をまるごといただくことを大事にしています。

季節を感じる味わい

当店のアイスクリームは、その時期に松本で採れる旬の素材を使っています。今の時期でしか食べられない、季節の味を感じていただけると思います。また、すいか、梅、もも、ぶどうは、ぎりぎりまで収穫せずに樹上で完熟することで甘味が増していきます。完熟のものは傷みやすく流通にのせるのは難しいのですが、農家から加工場までの近さを活かして、樹上完熟の果物を使ったアイスクリームも、できる限り作っていく予定です。旬の素材が持つ甘みやおいしさをアイスクリームに閉じ込めることで、皆さまに味わっていただきたいと思っています。

本場イタリアの
アイスクリーム製造機

世界的にも高い基準のアイスクリーム製造機を導入しました。イタリアカルピジャーニ社の殺菌機、ミキサー、アイスクリーム製造機。その他、鮮度を保つための真空機、瞬時にカップ詰めする充填機やシール機、素材の味を保つためのショックフリーザー、残留しないオゾン殺菌など、全て高品質の設備を整えています。この設備のおかげで、素材そのもののおいしさを引き出しながら、安心して食べていただけるアイスクリーム作りを実現しています。

人形店だから、
できること

春の七草にはじまり、桃、菖蒲、竹、秋の菊まで、日本には豊かな自然から生まれた節句があります。アイスクリームを通して、移り変わる季節を感じたり、古くから続く節句の文化を知っていただく機会になったらと考えています。9月9日の菊酒を嗜む重陽の節句には「菊酒アイス」を作りました。1月7日の七草粥の日には 「七草粥アイス」、3月3日のひな祭りには「ひなあられのアイス」などを今後作っていく予定です。